2007年01月21日

山本 甲士 どろ (1/2007) ☆☆☆☆

どろどろ
山本 甲士

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楽天:どろ



隣人どうしの関係がとんでもないことになる話だ。

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ラベル:山本 甲士
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2007年01月20日

米澤穂信 春期限定いちごタルト事件 夏期限定トロピカルパフェ事件 (1/2007) ☆☆☆☆1/2

春期限定いちごタルト事件春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信

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夏期限定トロピカルパフェ事件夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤 穂信

東京創元社 2006-04-11
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楽天:春期限定いちごタルト事件


夏期限定トロピカルパフェ事件


二冊でワンセットで紹介しよう。
この「夏季限定」のほうは実は去年の「このミス」ランキング入りしている。
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2007年01月03日

山本弘 アイの物語 (1/2007) ☆☆☆☆

アイの物語アイの物語
山本 弘

角川書店 2006-06
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楽天:アイの物語


未来社会の物語だ。
ヒトは、ロボットに迫害されている。続きを読む
ラベル:山本弘
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2007年01月02日

山本ひろし 君だけの物語 (1/2007) ☆☆☆☆☆

君だけの物語君だけの物語
山本 ひろし

小学館 2006-07-21
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楽天: 君だけの物語



先日ブログで紹介した「わらの人」
http://hidebook.seesaa.net/article/29582740.html
を書いた山本甲士氏のことを知り、彼に小説の書き方を習いながらだんだんと上達していくサラリーマン、山本ひろし氏による、小説の書きかた本。



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posted by 濫読ひで at 13:45| Comment(0) | TrackBack(2) | 作家や行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月31日

横山 秀夫 出口のない海 (12/2006) ☆☆☆1/2

出口のない海出口のない海
横山 秀夫

講談社 2006-07-12
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アマゾン: 出口のない海
楽天: 出口のない海


ブログ:http://hidebook.seesaa.net/article/30585190.html

人間魚雷「回天」の乗組員たちの話だ。
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ラベル:横山 秀夫
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2006年12月14日

山本甲士 わらの人 ☆☆☆☆1/2

わらの人
山本 甲士

文藝春秋 2006-11

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楽天:わらの人


人間は誰でも、違う自分に変わりたいという願望があると思う。
それを実現できる人は少ないが。
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ラベル:山本甲士
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2006年12月09日

唯川 恵 息がとまるほど (12/2006) ☆☆☆☆1/2

息がとまるほど
息がとまるほど唯川 恵

文藝春秋 2006-09

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楽天: 息がとまるほど
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唯川 恵 の短編集。
女性は、どうしてこんなに女性に意地が悪くなれるのだろうか。

作者から登場人物を描く描き方もそうだし、登場人物どうしの関係も確執があるものが多い。続きを読む
ラベル:唯川 恵
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2006年10月29日

山之内 正文  八月の熱い雨 <便利屋<ダブルフォロー>奮闘記> (10/2006) ☆☆☆☆☆

八月の熱い雨 <便利屋<ダブルフォロー>奮闘記>八月の熱い雨 <便利屋<ダブルフォロー>奮闘記>
山之内 正文

東京創元社 2006-08-30
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アマゾン: http://kat.cc/c470
楽天; 八月の熱い雨


便利屋のかかわるミステリーの話だ。
先日「まほろ駅前多田便利店」http://hidebook.seesaa.net/article/25459731.html
を紹介したが、それとはちょっと趣が異なる。

ほのぼのミステリーだ。人は、死なない。
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ラベル:山之内 正文
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2006年09月18日

米澤 穂信  愚者のエンドロール(9/2006) ☆☆☆☆1/2

愚者のエンドロール愚者のエンドロール
米澤 穂信

角川書店 2002-07
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楽天: 
愚者のエンドロール

高校生たちの、学園生活におこる「事件」に関してのシリーズ。
だが事件といっても人間が死んだりするなまなましい話ではないのがこのシリーズのよいところだ。


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ラベル:米澤 穂信
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2006年07月30日

男は敵、女はもっと敵 山本幸久 (7/2006) ☆☆☆☆1/2

男は敵、女はもっと敵男は敵、女はもっと敵

山本 幸久


マガジンハウス 2006-02-23

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楽天: 男は敵、女はもっと敵
http://www.geocities.jp/hidebookjp/bookstore/teki.htm

不思議なタイトルだが、どんな人間がメーンキャラクターかわかるだろうか?

男は敵。なるほど。
女はもっと敵。 ふむふむ。女の敵は…
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2006年07月27日

山之口 洋 完全演技者(トータル・パフォーマー) (7/2006) ☆☆☆☆

完全演技者完全演技者

山之口 洋


角川書店 2005-08-31

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完全演技者

https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=ZUQCI+8FN3AQ+1N6+61Z82&i=4048736345

オサムは悩んでいた。どのバンドも自分と合わない。そんなとき、サラに出会った。



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2006年06月18日

山本 行影 amazonで1位!「山本塾」の本。(特典つき)

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毎月500万円! 会員制ネットビジネスのすごい稼ぎ方山本 行影

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山本塾の塾長である山本さんが 本を出版されました。
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2006年03月26日

山本 弘 まだ見ぬ冬の悲しみも (3/2006) ☆☆☆☆☆

まだ見ぬ冬の悲しみもまだ見ぬ冬の悲しみも

山本 弘


早川書房 2006-01

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まず断っておこう。
私は「SF者」ではない。 ちょっと説明が必要かもしれない。
SF(サイエンス・フィクション)を好きな人は世の中に多い。
私の世代でも結構たくさんいるはずだ。
私は、SFが嫌いではない。死んだ祖父の形見には「スカイラーク」(レストランじゃないよ)シリーズが早川と創元の両方あったし、私自身、鶴書房の本はあのシリーズ全部読んだ(わかる人にだけの話で恐縮です。)続きを読む
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2006年02月22日

柳 広司 吾輩はシャーロック・ホームズである(2/2006) ☆☆☆☆1/2

吾輩はシャーロック・ホームズである吾輩はシャーロック・ホームズである

柳 広司


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ワトスン医師の所に、変わった東洋人がやってきた。男はナツメと名乗った。
どうやら夏目金之助という、日本からの留学生らしい。
彼は、ロンドン留学でストレスを受け、なんと、自分をシャーロック・ホームズと思い込んでしまっているというのだ!

ワトスンは行きがかり上仕方なく、ナツメをホームズとして扱い、ある降霊会に連れて行く。
すると、そこで殺人事件が起こるのだ!

ホームズは不在。そこで、ワトスンはナツメとともに謎解きを始める。
スコットランド・ヤードのレストレード警部も登場する。

犯人は誰か、そしてロンドン塔の秘密は何か。ナツメは一部の思い込みで失敗もしながら、ワトスンとともに真相に迫っていく。


シャーロキアンでなくても十分楽しめる作品になっている。
時代背景を反映して、結構差別的な表現も使われる。作者は確信犯的にそれを使いながらも、
当時の先進国の価値観に対して強烈な皮肉を打ち出している。

そういえば、先日、ネットでロンドン塔の象徴ともいわれるワタリガラスが鳥インフルエンザ予防のために移されるという話が載っていた。面白いシンクロニシティだ。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 漱石がロンドンで自転車に乗ったかどうか、考えてみるのも楽しいです。
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吉村 萬壱 バースト・ゾーン 爆裂地区  ☆☆☆

バースト・ゾーン―爆裂地区バースト・ゾーン―爆裂地区

吉村 萬壱


早川書房 2005-05

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近未来の日本、あるいはパラレルワールドの話だ。

荒れ果てた日本で人々は何とか生き延びていた。
国は、「テロリン」に狙われているという。姿の見えないテロリスト集団だ。
国は、人々に対して従軍することを奨励している。国を守れ、というのだ。

荒廃する町で、人々はテロリン狩りをする。というか、弱い者をテロリンと決め付けて殺している。異形の人々も多い。

なかなか志願できない男、椹木武。妻子がいて、愛人もいる。
愛人のヒモのような生活をしているが、いつか志願をするつもりだ。
愛人の寛子は、職業として客をとっている。

一方国家に忠誠を尽くす医師、斎藤は自分に行為を寄せるらしい掃除婦から意外なことを聞く。彼はそれが信じられない。

テロリンを倒す最大の武器「神充」を獲るため、軍に志願した人々は大陸へ行く。そして恐ろしい現実を、身をもって知ることになる。


グロ、バイオレンスが好きな読み手なら楽しめるのかもしれない。
ただ私はそういう路線は趣味ではないので、かなり抵抗がある作品だ。

テロリンと神充の関係は最後に明らかになる。
これでもか、という描写の果てに。

もっと軽い描写と設定でも、こういう話は書けるはずだ。
結局、好みが合うかどうか、ということだ。

お勧め度:☆☆☆ 好みの問題です。




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2006年01月06日

山田 宗樹 天使の代理人 (12/30/2005) ☆☆☆1/2

天使の代理人
天使の代理人山田 宗樹

幻冬舎 2004-05

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内容を知らないで読み始めていきなり後悔した。
堕胎の話なのだ。
あ〜まいったな〜でも読もう、という感じで進んでいった。この辺は昔読んだ本「アリスの朝」なんかで感じたものとよく似ていた。だがその後が違った。単なる悪趣味な作品でも、見世物でもない。押し付けがましさなく、淡々と話は進んでいく。

米国では妊娠中絶是非の意見が大統領選挙さえ左右すると言う。
Pro-Life 対 Pro-Choiceという。保守層、とくにカトリック系は当然のことながら中絶反対派だ。その一方、日本ではそれほどの議論は起こっていない。

「天使の代理人」とは何か。産婦人科で中絶手術を手伝ってきた看護婦、冬子が、できれば中絶をやめさせたい、ということで、「天使の代理人」というタイトルで本を書いた。
そして、その本を読んで共鳴する女性たちが、密かに集まり、「天使の代理人」として堕胎する予定の妊婦に対して思いとどまるように説得する動きをはじめたのだ。
ところが、その説得によって佐藤雪絵という女性が思いとどまったが、その結果として予期せぬことが起こってしまった…
一方、キャリアウーマン、弥生が精子バンクを使って妊娠した。ところがある事情で彼女は中絶を決意し、天使の代理人が動き出す…
また、女子高校生、麻矢が中絶手術をし、その体験から、自分の意見をネットで出した。そして…

筆者は男性だ。よほどちゃんと取材して理解しないと、こういう題材は書きにくいと思う。とくに、主要な登場人物の大部分は女性なのだ。 男性は、いい役としては全然出てこない。
妊娠はひとえに女性がメーンになる話題だからだ。
もちろん、避妊は本文にもあるように男性の責任でもあるわけだし、経済的なサポート、妊婦の精神的なサポートも当然必要だ。もちろん出産後の子どもの生への責任は言うまでもない。
だが、あくまで主役は女性になることは明らかだろう。 男性である筆者がこういう題材を丁寧に調べて書いていることは凄いことだと思う。

結末については、いろいろな意見があるだろう。それについて議論をすることは悪くない。そういう議論が起こることを、もしかしたら筆者も期待しているのかもしれない。 無関心であることが一番よくない、という考えもあるかもしれないのだ。
ただ、「その後」がどうなるのか、については、もう少し書き込んでもいいのかな、という感じも否めなかった。結末は、男性が書いたからこうなったかな、という気も少しした。


お勧め度:☆☆☆1/2  望まない妊娠が起きてしまったら、あなたはどうしますか?






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2006年01月02日

吉村 昭  間宮林蔵 (2005/12/22) ☆☆☆☆1/2

間宮林蔵間宮林蔵

吉村 昭


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間宮林蔵といえば「間宮海峡」という単語が思い浮かぶ人は多いだろう。だが、それ以外にどんなことをしたのか、とかどんな人だったのか、というのは大部分の人はわからないのではないか。
林蔵は貧しい家の生まれだったが、治水工事をみていていろいろなことを身に付け、それで武家の下僕になる。そこから多くの経験をして、蝦夷地にわたっていく。
物語の最初は、ロシアの襲撃で始まる。
林蔵がいたエトロフのシャナという土地がロシア人に襲われたのだ。
林蔵をはじめとする日本人は戦えずに落ち延びる。
そしてその行為にとがめを受けたものたちが多かった。林蔵はそのときにどうなったのか?
そしてどうやって彼は樺太を島だと確認したのか。
あとは読んでもらうしかない。
伝記であるが、単なる賞賛ではない。彼のロシア人に対する激しい態度は批判的に描かれたりもしている。その一方、彼と伊能忠敬との交流など、見ればなるほど、と思うようなエピソードもいろいろある。
歴史が好きな人々、とくに幕末の開国へのプロセスに興味がある人々にはとても面白い本だといえよう。シーボルトが、面識のない林蔵に贈り物を贈ったなどということはあまり知られていないのではないだろうか。 このあたりは「風雲児たち」を読んだりしているととてもイメージがわきやすい。

この本が書かれたのはもうずいぶん前のことだ。だが、歴史ものでもあり、面白さは変わらないだろう。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 歴史好きならぜひ!



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2005年12月31日

米澤穂信 犬はどこだ (12/30/2005) ☆☆☆☆

犬はどこだ犬はどこだ

米澤 穂信


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年末ミステリランキングで「このミステリーがすごい」8位に選ばれた作品だ。
銀行員という職業を体調不良のためドロップアウトしてこの街に戻ってきた男、紺屋が、探偵事務所を開く。 もともと犬を探すことをメーンにすえるつもりだ。

ここまで読んで、何となく荻原浩の「ハードボイルド・エッグ」を連想したが、実際は違った。

最初の依頼は、犬ではなくて人を探して欲しい、というものだった。この街出身の女性が失踪したので探して欲しいということだ。 そしてもう一件依頼がきた。古文書を解読して欲しい、というものだ。 一度に二つはできないので、助手を雇うことにした。通称ハンペー。

紺屋は、その女性、佐久良桐子を探し始める。そして、彼女の失踪した理由をネットから探し出す。実際は協力者に探し出してもらった、というべきか。

一方、ハンペーは仕事をこなし、いろいろな資料を見つける。 紺屋のターゲットとハンペーの資料はつながっている。しかし、お互いにそれを説明しないため、その二つの接点にふたりとも気づかない。読者だけが知っている。読みながらやきもきしてしまうのだ。
調査がすすむうちにいろいろな事件が起こる。調査を妨害しようとする謎の男も出現した。
紺屋は桐子の足取りをつかむことができるだろうか…


探偵の活躍はちょっと中途半端かもしれない。また、ハンペーの設定がちょっとぶれているような気がする。ハンペーはそんなことできるのか?みたいなところがちょっと疑問に思えたりしたのだ。これは筆者だけかもしれないが。

ミステリーとしてはきちんとまとまっている。場面の切り替えもちゃんとしており、混乱は無い。読者はやきもきしながら本を読みすすめていくことになる。

結末についてはなるほど、と思う部分と、それで、そのあとは?と聞きたくなるような部分がある。「クドリャフカの順番」と比べるとミステリーの質としては少し落ちるかもしれない。
だが、水準は十分にクリアした作品だといえるだろう。

お勧め度:☆☆☆☆ 「犬はどこだ?」とペット探偵は言う。

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2005年12月12日

横山 秀夫  影踏み (12/10/2005) ☆☆☆1/2

439663238X影踏み

横山 秀夫


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異色作だと言えるだろう。

刑務所から出てきた真壁には、相棒がいた。
それは、双子の弟、啓二だ。
啓二は、火事で死んでしまった。その後、なぜか真壁の心のなかに現れるのだ。妄想ではない。啓二は真壁と会話し、また必要に応じてデータを記憶して真壁を助けたりする。

真壁は、昔の女の久子を訪ねた。しかし抱けなかった。啓二が頭の中にいるからだ。
真壁は、火事の原因などを探し始める。 啓二がそのパートナーとなる。
彼は忍び込みの真壁、で「ノビカベ」と呼ばれていた。
そしていつしか犯罪を探し当てていく。そして、久子をめぐるトラブルへと飛び込んでいくことになる…

設定がとても異色な作品になっている。
啓二は、真壁にとっては逃げられない相棒だ。
プラスにもマイナスにもなる。
こういう役目というのは珍しいだろう。

双子であることの楽しさ、悲しみを秘めて真壁は多くの事件へと飛び込んでゆく。
そして深層心理を知ることになるのだ。

犯罪トリックとしてはそれほど大きなものではなく、連作短編という感じで真壁が真相に迫っていく。
なかなか面白いと言えよう。

お勧め度:☆☆☆1/2 設定を許容できるかで評価が変わると思います。

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2005年11月12日

米澤穂信 さよなら妖精 (11/12/2005) ☆☆☆☆1/2

4488017037さよなら妖精

米澤 穂信


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雨の日。おれはクラスメートの太刀洗(たちあらい)と歩いていた。途中で、雨宿りをする白人の女性とであった。 それがマーヤだった。
その日から、おれたちとマーヤとの日々が始まった。
マーヤは、ユーゴスラビアの出身だった。

マーヤは日本語がかなりできる。だが完全ではない。マーヤが日本にいる二ヶ月の間、マーヤにいろいろなことを経験させるように、おれたちは行動した。 
そうしているうちに、ユーゴスラビアに内戦が起きた。
そしてマーヤは帰国した。アドレスを残さずに。

おれは、クラスメートのいずると二人で、マーヤがどこの国から来たかを推測することにした…


この本は、いちおうミステリー仕立てになっているといえばなっている。マーヤの出身の国を当てる、というのが謎解きなのだ。
ユーゴスラビア。チトー大統領がまとめた、という話は知っている人も多いだろう。
連邦制という感じで、国々がまとまっていた。 セルビア、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロ。それぞれが国なのだ。
結局内戦によって、国は崩れ去った。マーヤは、「ユーゴスラビア人」だったが、マーヤの故国はなくなってしまったのだ。

だが、この本は、謎解きをメーンにすえた話ではない。
マーヤという存在を通して、「おれ」がいろいろなことを感じていく、青春の成長物語なのだ。
若いときでしかなかなか味わえない貴重な時の貴重な感情。
それを、みずみずしく描き出しているのがこの本なのだ。

おれのマーヤへの思い。マーヤの思い。そして太刀洗の思い。
そして、紫陽花のパレッタ。
マーヤとの思い出が、おれに何をもたらしたのか。そしてその結果はどうなるのか。

人は、人とかかわることによって成長する。
出会いの数だけ、別れがある。
伝わる思いと伝わらない思いがある。
そして、謎を謎たらしめるにも、理由がある。

さわやかでほろ苦い、いいあと味の作品だと言える。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 ユーゴスラビアはヨーロッパのどこにある(あった)のか、あなたは白地図を見て言えますか?

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