2008年06月07日

仙川環 無言の旅人 (6/2008) ☆☆☆☆☆



無言の旅人

著者: 仙川環
出版社: 幻冬舎
サイズ: 単行本
ページ数: 306p
発行年月: 2008年01月
ISBN:9784344014497
本体価格 1,500円 (税込 1,575 円) 送料別
無言の旅人

あなたは、「尊厳死」に対してどういう考えを持つだろうか。
自分ではどう思うか。
そして自分がその立場になったら、どう思うか。
自分が遷延性意識障害(植物状態)になったとき。近しいものが植物状態になったとき。





小さな店を営む公子に連絡があった。婚約者の耕一が交通事故にあったと。
彼は植物状態になってしまった。
そして、彼の部屋からは、「尊厳死の要望書」が出てきた。
公子は混乱した。 
耕一は、公子にそんなことを話してくれていなかったからだ。
そして耕一の母、芳子はそんなことを受け入れるわけにはいかなかった。
だが、彼の要望をかなえたいという気持ちも、やはりある。
彼は心優しい男だったからだ。自分たちに迷惑をかけたくないと思っていただろうから。

二つの思いの中で、家族の心は揺れ動く。また、医師の心も揺れる。一方、見舞客の中に、尊厳死の要望のことを知っている人もいる。 果たして、どんな結果が待っているのだろうか。


自分がその立場になったときにどうするか。それはなかなか考えられない。たぶん二律背反の気持ちにさいなまれるだろう。
そして最後は…やはりわからない。

作者は阪大大学院医学系研究科修士課程修了、とある。医師免許があるのかどうかはわからないが、少なくとも医学の知識があることは確かだ。だからこそ、このような題材で小説が書けたのだろう。

専門的な記述だけでなく、関係者の葛藤なども描いている、かなりの力作だ。

以前の「ししゃも」のようなゆるい話ではなく、こんな話のほうがきっとこの作者には合っているのだろう。

お勧め度;☆☆☆☆☆ 尊厳死の問題は簡単ではありません。この小説の結びは鮮やかでした。

無言の旅人

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タグ:仙川環
posted by 濫読ひで at 23:53| Comment(0) | TrackBack(1) | 作家さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: 「大切な人が切実に望んでいることを、妨げたり気付かないふりをしたりするのは、ひど
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