![]() | さよなら妖精 米澤 穂信 東京創元社 2004-02 by G-Tools |
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雨の日。おれはクラスメートの太刀洗(たちあらい)と歩いていた。途中で、雨宿りをする白人の女性とであった。 それがマーヤだった。
その日から、おれたちとマーヤとの日々が始まった。
マーヤは、ユーゴスラビアの出身だった。
マーヤは日本語がかなりできる。だが完全ではない。マーヤが日本にいる二ヶ月の間、マーヤにいろいろなことを経験させるように、おれたちは行動した。
そうしているうちに、ユーゴスラビアに内戦が起きた。
そしてマーヤは帰国した。アドレスを残さずに。
おれは、クラスメートのいずると二人で、マーヤがどこの国から来たかを推測することにした…
この本は、いちおうミステリー仕立てになっているといえばなっている。マーヤの出身の国を当てる、というのが謎解きなのだ。
ユーゴスラビア。チトー大統領がまとめた、という話は知っている人も多いだろう。
連邦制という感じで、国々がまとまっていた。 セルビア、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロ。それぞれが国なのだ。
結局内戦によって、国は崩れ去った。マーヤは、「ユーゴスラビア人」だったが、マーヤの故国はなくなってしまったのだ。
だが、この本は、謎解きをメーンにすえた話ではない。
マーヤという存在を通して、「おれ」がいろいろなことを感じていく、青春の成長物語なのだ。
若いときでしかなかなか味わえない貴重な時の貴重な感情。
それを、みずみずしく描き出しているのがこの本なのだ。
おれのマーヤへの思い。マーヤの思い。そして太刀洗の思い。
そして、紫陽花のパレッタ。
マーヤとの思い出が、おれに何をもたらしたのか。そしてその結果はどうなるのか。
人は、人とかかわることによって成長する。
出会いの数だけ、別れがある。
伝わる思いと伝わらない思いがある。
そして、謎を謎たらしめるにも、理由がある。
さわやかでほろ苦い、いいあと味の作品だと言える。
お勧め度:☆☆☆☆1/2 ユーゴスラビアはヨーロッパのどこにある(あった)のか、あなたは白地図を見て言えますか?






これからもよろしくお願いします。