2005年11月12日

米澤穂信 さよなら妖精 (11/12/2005) ☆☆☆☆1/2

4488017037さよなら妖精

米澤 穂信


東京創元社 2004-02

by G-Tools


http://tinyurl.com/77nvl


雨の日。おれはクラスメートの太刀洗(たちあらい)と歩いていた。途中で、雨宿りをする白人の女性とであった。 それがマーヤだった。
その日から、おれたちとマーヤとの日々が始まった。
マーヤは、ユーゴスラビアの出身だった。

マーヤは日本語がかなりできる。だが完全ではない。マーヤが日本にいる二ヶ月の間、マーヤにいろいろなことを経験させるように、おれたちは行動した。 
そうしているうちに、ユーゴスラビアに内戦が起きた。
そしてマーヤは帰国した。アドレスを残さずに。

おれは、クラスメートのいずると二人で、マーヤがどこの国から来たかを推測することにした…


この本は、いちおうミステリー仕立てになっているといえばなっている。マーヤの出身の国を当てる、というのが謎解きなのだ。
ユーゴスラビア。チトー大統領がまとめた、という話は知っている人も多いだろう。
連邦制という感じで、国々がまとまっていた。 セルビア、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロ。それぞれが国なのだ。
結局内戦によって、国は崩れ去った。マーヤは、「ユーゴスラビア人」だったが、マーヤの故国はなくなってしまったのだ。

だが、この本は、謎解きをメーンにすえた話ではない。
マーヤという存在を通して、「おれ」がいろいろなことを感じていく、青春の成長物語なのだ。
若いときでしかなかなか味わえない貴重な時の貴重な感情。
それを、みずみずしく描き出しているのがこの本なのだ。

おれのマーヤへの思い。マーヤの思い。そして太刀洗の思い。
そして、紫陽花のパレッタ。
マーヤとの思い出が、おれに何をもたらしたのか。そしてその結果はどうなるのか。

人は、人とかかわることによって成長する。
出会いの数だけ、別れがある。
伝わる思いと伝わらない思いがある。
そして、謎を謎たらしめるにも、理由がある。

さわやかでほろ苦い、いいあと味の作品だと言える。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 ユーゴスラビアはヨーロッパのどこにある(あった)のか、あなたは白地図を見て言えますか?

posted by 濫読ひで at 22:45| Comment(1) | TrackBack(1) | 作家や行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。TBさせていただきました。
これからもよろしくお願いします。
Posted by 流石奇屋ヒット at 2005年12月07日 23:04
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134 「さよなら妖精」 米澤穂信
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Tracked: 2005-12-07 22:57