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いい小説を読んだあとの読後感はさまざまだ。
ああ、楽しかった。と思う場合。
すごいぞ!と思う場合。
そして、「自分が作家でなくて良かった」と思うことがある。
最後の言葉にはきっと説明が必要だろう。古川日出男の作品は、人を圧倒する。
この作品もまた然り。
今回も思った。
「どうやったら、こんな小説が書けるのだろうか?」と。
そして感じる。自分は作家ではない。だから単純に楽しめばいい。だがもし、自分が作家だったらどうか。 作家であれば、この作家とも同じ土俵で勝負しなければならない。だが、自分と古川日出男の間の差は、絶望的に大きい。
そうであれば、自分が職業作家でないことを感謝する、ということになるのだ。
発端は、キスカ島。日本軍が駐留していて、霧にまぎれて米軍の包囲網から脱出した奇跡の島だ。(映画にもなっている。)
軍人は逃げたが、イヌは残された。 そこに、北というイヌがいた。そして、エクスプロージョンというイヌもいた。 エクスプロージョンはバッドニュースを生み、イヌたちの系譜が始まるのだ。
脈々と連なるイヌ一族の歴史に向かって問いかける。その一方で人間の歴史も伝えていく。イヌの血脈を追いつつ、歴史のイベント、国際間の緊張関係を記していく。そしてその二つは交差する。語り手は、イヌに向かって問いかける。
「イヌよ、イヌ。お前たちはどこにいる。」
そして犬は答える。
「うぉん、うぉん。」
そして、時には「オレか?」と。
素晴らしいリズムで。
そして圧倒的なストーリーテリングで。
イヌは時に、イヌ個体のことを意味しない。イヌの血を意味することもある。そう。血脈を。
「これはフィクションだってあなたたちは言うだろう。
おれもそれは認めるだろう。でも、あなたたち、
この世にフィクション以外のなにがあると思ってるんだ?」
物語が始まる前の一言だ。
古川日出男のフィクション。それを楽しめる時代にいることに感謝しなければ。
お勧め度:☆☆☆☆☆ 直木賞を逃す理由があったのだろうか?
付記:ベルカとは、宇宙船に乗った最初のライカのあと、今度は生還した二匹のイヌのうち一頭の名前だ。もう片方はストレルカ。






ジョーカーあてのダイイングメッセージって思いつきませんでした。なんか大沢在昌くさくていいですねー。
また暴走ネタを思いついたらブログに出しますね。あまり調子にのりすぎて世間の人々から袋叩きにされない範囲で。