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この本は、昨年の出版時から話題になっている。
筆者は(出版時)東大の助教授で、オウム真理教の幹部で地下鉄サリン事件の実行犯である豊田亨の友人だ。
同じ学者として、そして長い間の友人として、なぜ東大出の専門学者である豊田がこんな行為をしてしまったのか、何が起こったのか、というのを彼の目から世に問うている書だといえる。彼は豊田の闇を追うため、同じ時間帯に豊田と同じように地下鉄に乗り、ビニール袋を傘の先でやぶってみた。
それで彼は、豊田の行動の危険性などを肌身で感じることができたのだという。
そして彼は、豊田およびオウム事件(地下鉄サリン事件)の理解のために、サティアンのあった上九一色村を訪れたり、旧日本軍で何が起こっていたのか、というようなことを調べていく。また、その際に精神的な支えになったのは、実は東京大学の学者だった、ということも結論つけていく。
ここから先は、「失敗学」にもつながる。なぜ旧日本軍が間違えたのか、というようなことでもある。
そういう検証をすべて経た上で、彼は豊田の弁護にまわる。
海軍は、言い訳せず、失敗したら責任をとっていった。
それがサイレント・ネイビーという美学だという。
彼は、それに訣別せよ、というのだ。
弁護しろ。言い訳しろ、失敗の理由を語れ。それが、他人による同種の事件の再発を防ぐことになるのだから、と。
豊田被告は、オウムに救いを見出し、その結果として罪の無い多くの人たちの命を奪った。
その事実は変わらない。
だがその一方で、彼の反省の声明は、多くの人たちの心を打つ。
そして、おそらくまだオウム(改名済み)の多くの人たちも。
本書は、かなり構成がわかりにくい。そして語り手の感情が入りすぎている部分も多々ある。 話は前後し、論理にも飛躍があるかもしれない。
だが、筆者が豊田を救いたい、と考える気持ちは十二分に伝わってくる。 それだけでも、この本は5つ☆に値するのだと思う。
ただし。
反省すればこれでいいのか、という問題は残る。
犯罪の結果を罰するのか。再発予防のために罰するのか。
改悛の情をどこまで斟酌するのか。
そこの判断は困難だ。
何十人殺しても、反省すれば死刑をまぬかれ、そのうちに仮釈放される、そんな世の中でもいいのだろうか?
私の判断は、ここでは述べない。
あなたもこの本を読んで、自分自身で考えてみてほしい。
そのときには、真っ白な頭で、先入観なく。
お勧め度:☆☆☆☆☆ 読んでみてください。
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