2007年09月15日

大崎 善生 スワンソング (9/2007) ☆☆☆☆

スワンソングスワンソング
大崎 善生

角川書店 2007-09
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大崎善生の新刊。

僕は、由布子に尽くしていた。彼女は病気だ。
いや、完全な病気までいかない。 ほんのサランラップ一枚で正気を保っている。



僕には、同僚の由香という彼女がいた。由布子は同じ職場のバイトだ。
ところが、僕は由布子にひかれていってしまった。
それが僕たち三人に悲劇をもたらしているのだ…


元気なときにはダウナー系の小説を読んでもなんとも思わないが、元気がないときにこういう小説を読むとかなりめげる部分があるだろう。
前半はとくにそうだ。

ただ、この本は読みにくい。
エピソードや時系列が前後していて、何がいつどこで起こっているのかを、自分で前後を修正しながら読まないといけないからだ。

作者の意図もあるのだろうが、結果としてかなり読みにくいものになってしまっている。

由香のキャラクターが、意地悪なのかそれとも悩む女性なのか。ちょっとぶれてしまう部分がある。
あと、途中に出てくる人間が、結局キーワードを与える以上の役割を果たしていないのも肩透かしの部分が否めない。
最後の部分も、少し不満が残る。

しかし。

この本の後半には、希望がある。
立ち直るために必要なものが何か、というのを問いかけてくるからだ。

結末が希望なのか、ハッピーエンドなのか、というのは問題ではない。つらい毎日にはいつか終わりがくる。
そして希望もある。 どんな形にせよ。

お勧め度:☆☆☆☆ 優しい資質を引き出していくのも、ひとつの資質です。

お気に入りフレーズ(2つ)

ある日、由布子はそれを知る。
砂の上に立った一本の割り箸がもしかしたら自分の姿なのかもしれないということを。周りの先輩たちは決して倒れることのない慎重極まりない手つきで、自分が立っている砂の地盤を掻いていっているのだ。
遠まわしに、少しずつ、少しずつ。


僕が優しかったのではない。
自分のどこかに隠れていて気がつきもしなかった資質を、由布子が引き出したのである。 引いても引いても次から次へ出てくる、手品の結ばれたスカーフのように。それは僕というよりも、彼女の資質なのではないかと思う。


ラベル:大崎 善生
posted by 濫読ひで at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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