![]() 胡蝶殺し |
名手、近藤史恵のミステリー仕立ての小説。
(以下「楽天ブックスより:)
著者インタビューあたため続けていた「歌舞伎の子役」について描かれた本作についてお話を伺いました。
歌舞伎子役と親同士の確執を描くミステリー
「美しい夢ならば、夢の中でも生きる価値がある」
『サクリファイス』で大藪春彦賞、第5回本屋大賞2位を獲得した、近藤史恵氏が長年温めてきた、歌舞伎の子役を主人公にしたミステリー。
市川萩太郎は、蘇芳屋を率いる歌舞伎役者。花田屋の中村竜胆の急逝に伴い、その息子、秋司の後見人になる。同学年の自分の息子・俊介よりも秋司に才能を感じた萩太郎は、ふたりの初共演「重の井子別れ」で、三吉役を秋司に、台詞の少ない調姫(しらべひめ)役を俊介にやらせることにする。しかし、初日前日に秋司のおたふく風邪が発覚。急遽、三吉は俊介にやらせる。そこから、秋司とその母親由香利との関係がこじれていく。さらに、秋司を突然の難聴が襲う。ふたりの夢である「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を、ふたりは舞うことが出来るのか…?
【編集担当からのおすすめ情報】
とにかく読んでみてください。
歌舞伎に詳しい方も、そうでない方も、たっぷり楽しめます。
近藤史恵氏の淡々としながら緊張感のある描写に、あっという間にひきこまれると思います。
主人公は子役ではなく、あくまで萩太郎だと言える。もちろん萩太郎を狂言廻しと見ることも可能ではあるのだが。
自分の子と、歌舞伎の後見人になった「子」の扱いかた、そして「子」の母親との関係など、萩太郎の苦悩は深い。
だがミステリーとしてはそれだけで終わるわけではない。実は仕掛けは最後に明らかになる。その謎を楽しんでもらいたい。もちろんこれはミステリーというよりは歌舞伎の関係者の心の内を描く小説だ、とも言えるし、ミステリー部分はオマケということもできるだろう。☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆1/2 連獅子を踊るのが夢、というのはなんとなくわかります。
ラベル:近藤史恵