ナイルパーチの女子会 |
「私にふさわしいホテル」あたりで直木賞をあきらめたのかと思えた柚木麻子だが、この作品は受賞こそのがしたが、真正面から直木賞を狙った作品だと思った。
以下楽天ブックス引用
女友達どうしの凶暴な友情……
ブログがきっかけで出会ったキャリアウーマンの栄利子と専業主婦の翔子。その「友情」は次第に思いもよらぬものに変わってゆき……。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
ブログがきっかけで偶然出会った大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子。互いによい友達になれそうと思ったふたりだったが、あることが原因でその関係は思いもよらぬ方向にー。女同士の関係の極北を描く、傑作長編小説。 (引用終わり)
ナイルパーチというのはナイル川にいる獰猛な魚だ。栄利子は商社のキャリアウーマン。今度はナイルパーチのバイヤーを務めることになった。
彼女が好きなブログ。その作者,翔子は近所に住んでいた。
栄利子は彼女に近づき、友達になった。 だが、実は栄利子には女友達がいない。優等生でやってきたが、女どうしの距離感がわからないのだ。そして栄利子はどんどんゆがんでいく…
彼女の極みは、職場の後輩の派遣社員、真織に自分の弱みを知られたところで発現した。
あまりの反応に驚きを隠せなかった。
ありえない、と思いつつ、壊れる女というのはこうなっていくのかもしれない、とも思えた。
柚木麻子は女性に容赦無い。角田光代よりもさらにえげつないかもしれない。
いままでのある程度のユーモアでオブラートにくるんだちょっといい話、ではなく、女の醜さによる争いを描きだしている。精神を病んでしまうレベルまで。
こんな女性、いないよ!と言いたい一方、いるかもしれないな、とも思える部分すらある。
結末はさておき、全体的には救いがない。女の敵は女だし、意地の悪さは徹底した意地の悪さを生むのだ。
こんな不快でかつ印象に残る小説は珍しい。やはり直木賞を取れなかったのは残念だと思う。
おすすめ度:☆☆☆☆☆ 読む人を選ぶかもしれないです。読後感もよくない。でもおすすめ。柚木ファンはむしろ期待と違う筆致に戸惑うかも。
ラベル:柚木麻子
【関連する記事】



