2015年03月29日

石田衣良 オネスティ (3/2015) ☆☆☆☆



幼馴染のカイとミノリが交わした約束「どんな秘密もつくらない。お互い大好きだけど、恋愛も結婚もしない」。特別な関係を築く二人に、周囲の人間は困惑するが──。究極の愛を描く渾身の長編小説。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
丘の上に建つ二軒の家。それぞれに住む同い年のカイとミノリは、幼なじみとして育つ。家のそばにそびえるケヤキの木の下が、二人にとって大切な場所だったー。「おたがい大好きだけど、恋愛も結婚もしない。どんな秘密もつくらない」幼なじみ二人が交わした約束。純粋すぎる愛の行方は。『娼年』『逝年』を超える危険な純愛小説。


原稿が途中で消えてしまった。
気を取り直して書いてみよう。

主人公の男性はカイ。この名前を見ると、辻仁成の「カイのおもちゃ箱」を思い出す。
そして、内容も少し辻仁成チックなところがある。もちろん偶然だと思うが。

この小説で描かれるカイとミノリの関係。それを描く石田衣良の手法はあざとい。
ある人は「これこそ愛だ」というかもしれない。また、『男女間の友情だ』という人もいるだろう。
なんとなくこの描き方も辻仁成に似ている。
だがもっと石田衣良らしいのは、お互いがより理性的で、かつ相手の行動を受け入れていることかもしれない。



カイとミノリの関係。信頼と深い絆に結ばれた二人。
結婚ではない、恋愛でもないのかもしれない。絆。

だが、そこには「性」が介在している以上、単なる友情ではない。

一部の女性はこんな関係に憧れるかもしれない。
だが妻であるミキの立場からすると、たまったものではない。
結婚して、身体の相手は自分だけ。
でも心の一部はミノリの取られている。
自分ではカイを満たせない。
芸術の衝動を満足させられないのだ。

石田衣良の視点はあくまでカイのものだ。
そして、カイにとってはミノリとの関係が大事であって、ミキはその次だ。
ミキは存在しなくてもいいが、ミノリは必要不可欠。

そんな結婚を、誰が望むだろうか。

カイとミノリの間柄は純愛かもしれない。だが実は単純に利己的な愛でしかない。
それを感じさせにくい石田衣良の筆致は、やはりあざといと言わざるをえないだろう。

おすすめ度:☆☆☆☆ 二人のうちどちらに肩入れするかで変わりそうです。

蛇足:
ちなみに、僕のネット上の名前の一つもカイだ。



ラベル:石田衣良
posted by 濫読ひで at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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