未来へ… |
今年最後の紹介は新井素子の新刊。
なんと565ページだ。
なんでこんなに分厚いのか、というのはほぼ予想がついたが、やはり読後に「あとがき」を読んでその通りであったとわかる。
終わらなかったから。
それこそ昔の「絶句…」をはじめとして、彼女の作品は終わらない。書き始めたらどんどん伸びる。ストーリーができていても変わる。
チグリスとユーフラテス、にしてもハードカバー版は501ページあった。文庫では上下二冊でさらに分厚い。
チグリスとユーフラテス(上) |
それはさておき。
この作品は、母親が、娘の成人を機会にして、実は双子で、死んでしまったもう一人の娘を救うべく、過去の自分に交信していく話だ。
SFとしては古典的な歴史改変パラドックスものか、と思いきや、なかなかそこに至らない。野球音痴が読売新聞を読んでも意味が分からない、などというエピソードが入ってきたり、まあ進まないこと進まないこと。
ネタバレは避けるが、変わったエッセイみたいなつもりで、ゆっくりと読むが吉かと思う。
ちなみにタイトルは新井素子らしいな、と思う。彼女のデビュー作「あたしの中の…」を思い出す。
そして主人公は現在の自分なのに、「過去へ…」ではなくて「未来へ…」というタイトルは、期せずして
ストーリーをきれいに言い表しているともいえる。
新井素子ファンにはおすすめ。そうでない人が初めて読むと、話の進まなさに面食らうかもしれない。
お勧め度:☆☆☆☆ 「一体全体、何考えてるのっ!」



