途方もなく霧は流れる |
航空会社に務めるバツイチの岳夫はリストラにあい、仕方なく姉が数年前まで使っていた軽井沢の別荘にころがりこんだ。実際は失踪した父が購入したものだった。
将来を約束したわけでもないCAの美映からは、こう言われた「あなたは結局、責任を取るのがイヤなのよ。だから自分からは何も言わないの。表面的には相手の意思を尊重するようなふりをしているけれど、それはポーズでしかなくて、すべてのことから逃げてるの。今度のこともそう。私に言ったのは『軽井沢でクラスことにした』、それだけよね。私に来いなんてひと言も言わなかった」
「あなたのずるさは、そうやって一見まっとうな理由を掲げて、自分を正当化するところ。そうじゃないでしょう?あなたは私が勝手に付いて来た、というスタンスを取りたかったんでしょう?だって、来て欲しいなんて言って、あとで私にこんなはずじゃなかった、って文句を言われたくないもの。あなたはいつもそう。そうやって先に逃げ道を用意しておくの。私ね、今回のことでやっと決心がついたのよ。もう無理だって。あなたとは一緒に生きていけないって」
そんな岳夫は軽井沢で暮らし始める。まずは失業保険をもらうのみ。ホームセンターで道具を買い、家の補修を始めた。そしてホームセンターの職員の恵理に、冬のための大改装を自分でやることを勧められる。
また、恵理の母親、ゆり子がやっている小料理屋を訪れた。
岳夫は犬を飼い始める。
岳夫のまわりには恵理、ゆり子の親子以外にも官僚の妻や獣医などの女性が現れる。
岳夫の人生の選択は…
波瀾万丈のようで淡々と物語は進む。
結末についても疑問はあるが、この物語は、全体のトーンを楽しむものなのだろう。
お薦め度:☆☆☆☆ 男一人、軽井沢で暮らすとなると…
ラベル:唯川恵
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