2014年01月04日

坂井希久子 ヒーローインタビュー (1/2014) ☆☆☆☆1/2



多くの書評で絶賛されている本。

阪神の無名選手「仁藤全」について書いている。
架空なのかモデルがいるのかはよくわからない。(調べればわかるかもしれないがそれも野暮だろう。)

ちょっと変わった手法なのは、「ヒーローインタビュー」というタイトルなのに、仁藤のヒーローインタビューは出てこないことだ。というより、仁藤本人は登場しない。あくまで仁藤を知る人たちに対してのインタビューを重ねることにより、仁藤全という人間を浮き出させている。

仁藤の高校の同級生や、行きつけの床屋の女性、阪神のスカウトなど、いろいろな人間が彼について語る。
仁藤は阪神ではあまり活躍しなかった。そしてすぐに引退してしまったのだ。

小説の冒頭にこうある。
「ピンボールのように一軍と二軍を行ったり来たり。むしろ「二軍の帝王」と渾名されるほど、一軍では見どころのない選手だった。
間違っても伝記が書かれるような選手ではない。だから彼のことはあまり語られない。
だが彼について語るところのある者にとって、彼はまぎれもなく英雄(ヒーロー)だった。
そう。ヒーローである仁藤について人々にインタビューをしたのがこの小説なのだ。

登場人物は一部実在、一部名前を変えていたりする。
変えてもまるわかりだが(笑)。

インタビューを通じて仁藤の人となり、そして活躍の状況がわかり、彼らの記憶に残る試合についてが語られる。仁藤というのは真面目で不器用、縁起をかつぎ、チャンスに弱い男だった。だがある時から変わり、チャンスをものにするようになってきた。そしてあの運命の日…。

最後はちょっと意外な仕掛けを見せて、この話は終わる。だが人々の中に仁藤の記憶は残る。
そして仁藤は、これからも彼らの間で生き続けていくのだ。

おすすめ度:☆☆☆☆1/2 こんな選手がいたかもしれない、という気持ちにさせられます。


ラベル:坂井希久子
posted by 濫読ひで at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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