2013年12月01日

小手鞠るい あなたにつながる記憶のすべて

あなたにつながる記憶のすべて

あなたにつながる記憶のすべて
価格:1,680円(税込、送料別)



小手鞠るいの作品。
このブログではおなじみでもある。

さてこの本は一応エッセイ集といえばエッセイ集だ。あるいは私小説ともいえるかもしれない。
ただ、この本は「あなた」について書いているという点では「ワタクシ」小説ではない。

それぞれの作品は、「あなた」について客観的に書いている。
たとえば、「そのとき、あなたは、中米の永世中立国、コスタリカの海辺の村の貸別荘に滞在していた」とある。だがこの「あなた」というのは作者のことなのだ。一部分、回想シーンでは「私」というのも出ているが、基本的に「あなた」に呼びかける声の形になっている。

そしてタイトルが示すように、「あなた」が思い出す「だれか」についての話になっている。

「死者について、書きたい。その人に関する記憶だけをたよりにして。…(中略)死者だけではなくて、音信不通、消息不明、すなわち、消えてしまった人々も登場させてはどうか…」

こういうコンセプトの連作になっている。


途中には作者の作家としての魂の叫びもある。

「だから、私の本が図書館で借りられたり、古本屋で買われたりすると、すごく頭にくるんですよ。…『読みました』よりも『買いました』の方が嬉しいくらいなの」

こういう会話を交わした相手との記憶だ。
少なくとも、本を出すことで口を糊する人たちであれば一度は思うことだろう。


いろいろな人たちとの交流。かならずしも恋愛、ということではない人生での邂逅。
こんなエッセイ集があってもいい。

そして、恋愛については、過去のラブレター(とも言えるようなもの)が記されている。
彼女が送った手紙を保存してくれた相手からの心遣いによって。

お勧め度:☆☆☆☆ 記憶のかなたの人たちを時に思い出すのもいいことですね。


ラベル:小手鞠るい
posted by 濫読ひで at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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