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さすがだ、と思わせる東野圭吾の短編集。
ブラック・ユーモアでつづっている。まあ、メインのテーマは「巨乳妄想」「インポ」「もてない男」と「売れない作家」だ。
…というとおいおい、という感じだが、面白い。
イメージとしては星新一のショートショートで出てきそうなアイディアではある。題材はちょっとシモネタなので星新一にはそぐわないのだが。
「もうひとつの助走」というのは、当然、筒井康隆の「大いなる助走」を意識している。
東野圭吾はやっと「容疑者Xの献身」
http://hidebook.seesaa.net/article/9842980.html
で昨年直木賞を受賞したが、それまではなかなか直木賞が取れなかった。
この作品集のなかには、作家と編集者の緊張関係と裏話的な短編が3つ載っている。
それを見ると、作家がいかに使い捨てられるものか、というのがよく現れている。 もちろん編集には編集の言い分があるだろう。 商売である以上、商売のことを考えなければいけないのだ、と。
ユーモアで包み込んではいるが、しょせん作家は山のようにいる、という諦念すら感じさせられる作品である。
お勧め度: ☆☆☆☆ 作家になるのも大変ですがあり続けるのはもっと大変そうです。