2012年10月14日

深水黎一郎 人間の尊厳と八〇〇メートル (9/2012) ☆☆☆☆

人間の尊厳と八〇〇メートル
人間の尊厳と八〇〇メートル深水 黎一郎

東京創元社 2011-09-29
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小さなバーでオン・ザ・ロックを一口飲んだ私に、一人で呑んでいた男が声をかけてきた。「俺と八〇〇メートルの競走をしないか」と。
なぜ800mなのか。
男は雄弁に語る。
800mは人間が無酸素運動で走れろ限界ぎりぎりの距離だということ。そしてはじめから最後までほぼ常に全力で走らなければならないということ。それが人間の尊厳のためであり、ハイゼンベルクの不確定性原理ともつながっていくこと。
そして話はマックスウェルの悪魔までと到達する。
潜在性を顕在性に変えることの証明だということになる。
また自分のできる範囲のことをやって、なおかつそれが人間の尊厳の証明になる、というのがミソだと。
そして話は意外な方向へ…



その他「北欧二題」は他の作品に出てくる甥の話だ。

「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」 善人を殺す完全犯罪が、こんなことで途切れるとは…。

「蜜月旅行」 元バックパッカーの泰輔は海外旅行に慣れてない理沙との新婚旅行でパリに行った。
ツアー旅行に従わず、自分のやり方で楽しんでいきたい。だが妻の理沙との行き違いがいろいろ生じて…

個人的には表題作と蜜月旅行がいちばん面白かった。
ちなみに蛇足ながら「ミリエル神父」というのはレ・ミゼラブルに出てくる、ジャンバルジャンに燭台を与えた人物である。

ミステリーと必ずしも言えないかもしれないが、面白い視点の作品集になっている。

お勧め度;☆☆☆☆ 突然バーで「八〇〇メートル競走をしよう」と言われたら、あなたはどうしますか?


ラベル:深水黎一郎
posted by 濫読ひで at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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