2006年11月03日

梅田 望夫 ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (11/06) ☆☆☆☆☆

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まるウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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Rakuten: Web進化論


あちこちで話題になっているこの本を、今になって読んだ。

読んですぐに思った。「何で、これをもっと早く読んでおかなかったんだ、自分の●●●!」

すごい本だ。あちこちで話題になっているWeb2.0 のことを、平易に判りやすく書いている。 簡単なことを簡単に書くのは容易だが、難しいことをここまで簡単に書ける、というのは素晴らしいと思う。

なんとなくわかっているような気がするものを、ちゃんと整理して、だからこうなんだ、と明快に示してくれるのは、筆者がシリコンバレーにいるからなのだろうか。

グーグルがすごい理由というのをこの本では示している。だが、これはグーグル礼賛の本ではない。 グーグルを例にとって、ネットの「こちら側」と「あちら側」のせめぎあい、そして「あちら側」の可能性を示しているのだ。

「こちら側」というのは、ネットにつながったコンピューターの個別のハードおよびそのユーザーをさす。そして、「あちら側」というのは、ネットでつながった向こう側のデータ、コンピュータなどをさしている。

マイクロソフトがOSを扱っている。これは「こちら側」のビジネスだ。その一方、グーグルは、検索エンジンをネット上に持ち、ネットのあちら側のハードを使って検索した結果をネットのこちら側に提供する、ネットの「あちら側」のビジネスなのだ。

ネットワークコンピュータという考え方があった。端末には最低限の機能だけをおいて、ホストで全部処理をする、というものだ。 昔の大型計算機のTSS(こんなのは今の人は知らないだろうな)なんかもそれに近いのかな。

最初言われたときにはまだネットも発達していなかったので難しかったが、今なら状況はまったく違っている。

さてWeb2.0企業として、筆者はアマゾンをあげている。 
アマゾンは、単純にネットで本を売る会社から進化して、アマゾンの持っているデータを公開し、自由に加工させることによって、外部の多くの人たちにビジネス機会を与えるとともにその果実を享受しているのだ。

もう少し平たく言おう。 
私がこれを書いている「活字中毒者の小冒険2」サイトのアマゾンのデータについては、G-Toolsというサイトにお世話になっている。 

そのG-Toolsというサイトは、アマゾンの保有するデータを加工して、独自のものを作っているのだ。

また、古書の「せどり」ビジネスをアマゾンを使って行っている人たちは、古本屋で本を買うときに、携帯でその本のアマゾン価格をサーチしている。 そのときにアクセスするのはアマゾンのサイトではない。 携帯せどり用に最適化されたサイトなのだ。 そのサイトは日本人のプログラマーによって造られていて、有料あるいは無料で公開されている。そしてそのサイトは、アマゾンのデータを無料で加工しているのだ。

データを公開することにより、企業の秘密が盗まれてしまう、というのが従来の発想だった。それが、データを公開し加工を認めることにより、自分のビジネスを拡大する、という新たな発想が生まれているのだ。

ここが、アマゾンと楽天の大きな差になっている。

amazon のAPIサービスで言えば、日本ではたとえばJuiceさんが有名だ。
http://www.512x.net/weblog/ や
「はてな」の http://d.hatena.ne.jp/vjuice/
あたりを見ると、この人のすごさがわかる。

なお、楽天ではWeb2.0サービスがない、ということなのだが、その現状を打破すべく、個別にトライしているかたがいる。
http://rakuapi.ddo.jp/
(引用)
RakuAPI Version 0.9 - 楽天市場非公式ウェブサービス

このサービスは?
 「RakuAPI」(らくあぴ)は、キーワードに合った楽天市場商品情報を返す、アマゾンでいうAmazon ECSのようなWebAPIです。楽天市場とは関係ないアンオフィシャルなウェブサービスです。

 楽天市場の商品をキーワードやジャンルで絞り込み、XML/RSSやTSVなどのデータとして取得することができます。また、楽天アフィリエイトのアフィリエイト・コードを指定することでアフィリエイトリンクURLを返すことができます。

 Amazon ECSに比べて、取れる商品情報は少ないものの、利用しやすくし、また出力形式を複数用意することで、簡単にWebアプリケーションに組み込むことができます。

(引用終わり)

この作者が楽天とまったく関係ないのかどうかは不明だが、いずれにしても、「あちら側」を活用したい、という欲求は、「あちら側」を利用したことのある人たちからすれば当然のものになるだろう。

あとは、「あちら側」のビジネスを提供できるだけのインフラと度量、経営判断ができる会社だけが、Webの中でどんどんシェアを広げていくのかもしれない。

すごい時代だ。

なお筆者は、マイクロソフト、グーグルの次の世代は、もしかしたら今の日本の中学生から出るかもしれない、ということを言っている。小さい頃からブロードバンドと携帯ネットが当たり前の彼らが、何を求め、何を作り出していくだろうか。

彼らの才能を生かす環境を作ることができたら、もしかしたらWeb7.0くらいは日本の独壇場になるかもしれない。 そう思うことしきりである。

お勧め度;☆☆☆☆☆
素晴らしいです。 ネットビジネスに興味のある人は、必読です。「ロングテール」の話も載っています。


なお、これに対する反論もネット上ではいろいろ出ています。
たとえば「日本のウィンドウズ開発統括部」のブログの反論
http://www.exconn.net/Blogs/windows/archive/2006/03/29/8536.aspx
では、「あちら側」と「こちら側」の区別には基本的に首肯しつつも、マイクロソフトの方向性について述べています。

この本を各反論をよく咀嚼した上で、じっくりと考えてみたいと思います。


posted by 濫読ひで at 23:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 作家あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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