2012年02月11日

中島 京子 小さいおうち (2/2012) ☆☆☆☆1/2


小さいおうち
小さいおうち中島 京子

文藝春秋 2010-05
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直木賞受賞で評判だったがなかなか読めなかった本。
やっと読む機会ができた。

冒頭から、ある女性の一人語りで始まる。
おばあちゃんの回想録ということになる。

戦前に住み込みの女中として過ごした、ある家での出来事ということになる。ある「小さいおうち」での話だ。

タキは、他での女中としての働きを経て、平井家の女中となった。
正確に言うと、「奥様」である時子の女中として、初婚のときから仕えていて、再婚とともに平井家に入った。

そこで、タキはずっと平井家の女中として毎日を過ごすことになる。
奥様の世話、旦那様の世話、そして恭一ぼっちゃんの世話をして、日々が過ぎていく。

いろいろなことがあったが、やはり最大のイベントは、奥様が、板倉さんという男性と接近していったことだろう。
この二人の関係は、秘めた恋ということになる。タキはそれを見てみぬふりをして過ごすことになる。最後となるあの時まで…。


タキの回顧録を、甥の健史が読むようになり、それぞれしたり顔でコメントをする。
知ったかぶりで時代のことを言うが、実はそんなことはその時代の人間が知るものではないし考えることでもなかった、ということに若い健史は気づかない。それがまたもどかしくも面白い。
戦後の平和教育に毒されたようなコメントだが、ジェネレーションギャップでもあり、またいつの世の中でも同様なことが起きるに違いない。

もちろん今の時代は戦前よりもマスメディアが発達しているとは言え、数十年後になれば、我々の回顧に対して子孫の世代は似たようなコメントをするのかもしれない。

「小さいおうち」というのは有名な絵本のタイトルでもある。実は私も小さい頃読んだし、ある程度覚えている。
それが最後になって出てくる。そして、健史が意外な発見をすることになるのだ。


ストーリーとしても良く出来ているし、構成もちょっと異色だがわかりやすい。ジェネレーションギャップの記述は秀逸だし、最後の健史の活躍も気が利いている。さすが、直樹賞受賞作だといえるだろう。

おすすめ度:☆☆☆☆1/2 今頃何を、と言われそうですが素晴らしいです。


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posted by 濫読ひで at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家な行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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