2006年04月09日

フランス・ドゥ ヴァール 藤井 留美訳 あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源
フランス・ドゥ ヴァール Frans de Waal 藤井 留美

早川書房 2005-12
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人間とサルはどれくらい同じなのか、どれくらい違うのか?
人間の行動というのは、どれくらいが文明によるもので、どれくらいが本能によるものか?
動物にはどんな感情があるのか?

こんな疑問にある程度答えてくれる本だ。

使われる材料は、チンパンジーとボノボだ。ボノボといってもあまりわからない人も多いだろう。わたしも最近知った。以前「ピグミーチンパンジー」と呼ばれていたサルだ。
荻原浩の「さよならバースデイ」
に出てくるサル、バースデイもボノボだ。

ただ、チンパンジーとボノボはまったく違う。チンパンジーは攻撃的で、ボノボは平和的。チンパンジーはオスが支配し、ボノボはメスが支配する。

どちらが賢いか? チンパンジーの研究者はチンパンジーといい、ボノボの研究者はボノボと言うそうだ(笑)。

この本では、いろいろな面から、サルと人間の違いを検証している。たとえば、チンパンジーの中の勢力争い。アルファオス(昔の言葉で言えばボスザル)の立場に立つためには、力だけではない。協力者が必要だ。そこに、政治が生まれる。 そして、うまくたちまわることの必要性が見える。マキャベリズムだ。

作者がチンパンジーの研究者であるため、チンパンジーの記載が多いが、セックスに関してはボノボの記載が多い。 ボノボというのは実はセックスが好きな種類であるそうだ。というか、セックスは挨拶、コミュニケーションの一部になっているというわけだ。

面白いのは、メスで魅力が高いのは、成熟した、子供を生んだことがあるような年長のものだそうだ。人間は若い女性のほうが男性に好まれることが多いが、ボノボでは「熟女」が好まれるという。

動物に感情があるか、といえば「ある」というのが答えだ。
たとえば、共感という行動もあるし、やさしさもある。
サルどうしだけでなく、ゴリラと人間の間にだってあるようだ。

この本をみると、サルの人間らしさ、というのが伝わる。というか、どこまでが人間の文明によるものなのか、という区別がだんだんあいまいになってくる気がする。

サラリーマンが出世したいと思うのだって、文明の結果ではなくて、実はただの本能かもしれないのだ。

なお、ちょっと翻訳がこなれていない部分がある。「サル」の定義だ。
Ape, Monkeyの差なんだと思う。私をふくむ一般人のほとんどは、区別がつかない。
そのため訳語でちょっと混乱がおきる可能性がある。

ただ、それはこの本の価値を下げるものではない。
人間の行動について、もう一度考えてみるのにはとてもいい本だと思う。

敬愛するビジネスマンかつノーブル・ジェントルマンのH氏のお勧め本だったが、 堪能できた。 
Hさん、ありがとうございました。

お勧め度:☆☆☆☆  人間だってサルだ!というと、ちょっと言いすぎですけど…
posted by 濫読ひで at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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