2010年07月31日

小路幸也 リライブ (7/2010) ☆☆☆☆1/2 @shojiyukiya

リライブ

リライブ

価格:1,575円(税込、送料別)



「ハズレなし」の作家の短編集。意外なことに、もう半年以上彼の作品を紹介していなかったようだ。

不思議な短編集だ。出てくるのは「バク」。

夢を食べるのではない。このバクは、思い出を食べる。
死ぬ前に現れ、今まで生きてきた人生の中で、取り戻したいもの、やり直したい選択、やり残した仕事などがあればその前に戻り、違う人生を歩むことができる。そのためには、それ以降の思い出をバクに渡すことになる。また、死ぬ直前には、バクのことも含めて、すべてを思い出すというものだ。

皆、それぞれに新しい人生を悔いのない形で生きている。
そして、それなりに満足していく。

だが、ここには仕掛けがある。単純にバクが出てきて思い出を食べて新しい人生を生きて終わるのではない。
ひとりの思いだけでこの話は完結していないのだ。

きっと、バクが動くにはもう一つの条件があるのだろう。
その条件があるからこそ、ストーリーは深みを増している。
どんでん返し、ということでもあるが、それは失望を産むわけではない。むしろより納得のできる話を作り上げている。

この中でひとつ上げるとしたら、「すばらしきせかい」。
暴走族の若者が、病気の女の子のために、戻ったところで彼女を救うための活動をする。その女の子の歌に救われたからだ。
しかし、その努力もむなしく、その子を救うことはできなかった。 すべてを思い出した彼は、バクから意外な話を聞いた…

この話だけでも何かを受賞しても良いと思う。

先日、ある人と飲んでいるときにこの本の話をした。
自分ならどこに戻りたいだろうか、と。
そして自分ならたぶんここだな、という選択があった。
だが、バクに会ったとして、その選択を取るか?というと自分でもわからない。
その選択には自分で納得しているからだ。
そういう時点に出くわしていない、というのはしあわせなのだろう。
もちろん細かい話はある。たとえばつまらない事故の直前に戻るというのがある。だがそれで人生がまったく違うものになるとも思えない。

結局いまの人生に満足しているかどうか、ということ、気がかりなことがないか、というのがひとつの大きなポイントなのだろう。 その意味、バクに会いたいと思わないというのはしあわせなのかもしれない。


おすすめ度:☆☆☆☆1/2
あなたは、死ぬときになったら、バクに会いたい、と思いますか?

リライブ

小路幸也の本(一部)
http://bit.ly/dbtOjo
東京バンドワゴン
http://bit.ly/bnasDW


posted by 濫読ひで at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家さ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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