2010年06月27日

海堂尊 マドンナ・ヴェルデ (6/2010)☆☆☆1/2

マドンナ・ヴェルデ

マドンナ・ヴェルデ

価格:1,575円(税込、送料別)


* 海堂尊
* 新潮社
1,500円(税込 1,575 円) 送料無料
・発行年月: 2010年03月
・ISBNコード: 9784103065722

娘の理恵を女手ひとつで育て上げたみどりは、女医になって結婚もしている理恵から依頼を受ける。
自分の子供を、かわりに産んで欲しい、と。

理恵は子宮に問題があり、今後子供が産めない体になってしまうというのだ。そしてみどりは、葛藤の末、代理母を引き受ける。


50代後半での妊娠という大きな出来事の中で、みどりはこのお腹の子供が誰の子供になるのか、を考え始める。日本の法律ではみどりが産んだ子はみどりの子になるのだ。 一方、父親が誰なのか、についても疑念が生じる。

果たして、みどりは自分の気持ちにどう折り合いをつけ出産に望むことになるだろうか。


海堂尊の一連の医学小説のひとつ。最近の彼の作品は、一作だけで見るのではなく、一連の作品の連関を考えながら読まなければならなくなってきている。
今回の話しは代理母の話だが、その裏には「ジーン・ワルツ」という作品もあるようで、それもあわせて読まなければならないだろう。

それはさておき。
今回の話は「冷たい娘、医者」対「普通の母親」の話でもある。
理恵はすべてを理屈で押し通そうとし、みどりはそこに人間の感情を入れる。

冷たいクール・ウィッチの理恵の考えがどこまでみどりを納得させるのか。あるいはみどりが理恵をどう説得するのか。そこが見所ということになる。
医学小説の題材としてはありがちだが、それだけで終わらないのは作者の力量だろう。

たぶん、物語はこれで終わらない。一緒に出産したユミはそのうちに別の作品に登場することになるだろう。
もしかしたら生まれた子供たちも将来の作品の登場人物になりそうだ。 作者はそこまでの構想をもって作品を描き始めているのだろう。

おすすめ度:☆☆☆1/2 この作者の作品としては標準的です。辛口すぎるかもしれないけど、今年のポリシーですから(笑)。

追伸:マドンナ・ヴェルデとは「聖母みどり」ということでしょう。海堂尊の作品の一部にはタイトルに色が使われています。ジェネラル・ルージュとか黄金地球儀とかブラックペアンとか。最初のうちは意図してなかったのでしょうがいまは意図しているのだと思います。

マドンナ・ヴェルデ
ラベル:海堂尊
posted by 濫読ひで at 08:47| Comment(2) | TrackBack(1) | 作家か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「マドンナ・ヴェルデ」に続く?話は既に2年前にでていますよ(子供が主人公)。

*「医学のたまご」理論社:ミステリーYA!刊

よろしかったらぜひご一読を・・・。

というメールを6/29付けで送信しましたがまだ返信がなかったので一応こちらにもコメントを。
Posted by suzuran at 2010年07月03日 20:06
コメントありがとうございます。
あ、医学のたまごに出てくる子供はここの子だったんですね…知りませんでした。

医学のたまごは眼帯の件で一部、物議をかもしたようですが…

ホントにいろいろ全部関連させているんですね、この人は…
Posted by ひで at 2010年07月04日 11:34
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海堂尊「マドンナ・ヴェルデ」
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Tracked: 2010-10-07 21:23
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