2009年12月06日

大崎善生 ディスカスの飼い方 (12/2009) ☆☆☆☆1/2


ディスカスの飼い方
著者: 大崎善生
出版社: 幻冬舎
サイズ: 単行本
ページ数: 292p
1,500円 (税込 1,575 円) 送料無料 ディスカスの飼い方

大崎善生と言う人は、とてもマニアックに物事を調べるのであろうか。あるいは彼自身がディスカスにのめりこんでいるのかもしれない。そんな半分狂気に近いような執念を感じる作品だ。

ディスカスというのはある種の淡水魚だ。マニアの間では珍重されている。
主人公は、ディスカスに魅せられた青年だ。 若いうちに、機会があって割増退職金をもらい、それを元手にディスカスの本格的な飼育を始めた。 ディスカスの飼育というのは非常に手間がかかる。もちろん凝れば、という話ではあるのだが。
僕は、昔、恋人の由真と別れた。その理由はディスカスだった。そのあとも女の子たちとは別れた。すべて理由はディスカスだ。24本もならべた水槽群。その世話のほうが女性よりも大事だったから。

そして僕は、由真のことを思いながら、ディスカスの繁殖を夢見る。ディスカスは繁殖が非常に難しい魚だ。この小説によると、販売業者が、わざと産卵管をつぶして販売しているのではないか、という。
その真偽は定かではないが、実際にディスカスの繁殖は困難らしい。 そして僕はそれに挑む。いまはもう居ない由真に応援されながら。

僕を応援してくれるもう一人は、聖地という男の子だ。彼は突然やってきて、魚を見ては消えていく。 彼が実在するのかどうかすらわからない。だが彼の訪問は、僕を和ませるのだ。


この作者は、将棋の世界に非常に近いところにいる。だから、狂気の沙汰としか思えないようなのめりこみ方をする人間たちをたくさん見てきただろう。 将棋の世界もディスカスの飼い方も実は同じかもしれない。 他人にはわかりえない、細部。魅せられた者たちは、そこを追求し続けるのだ。

この作品は、単純な魚の飼育物語ではない。魚の飼育という一見何の変哲もないような事柄に秘められた狂気に迫る話しだといえる。

お勧め度;☆☆☆☆1/2 魚を飼うのも、勝負の世界も、要するに際限なくのめりこめるかどうか、です。

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ディスカスの飼い方


ラベル:大崎善生
posted by 濫読ひで at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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