2006年02月19日

草森 紳一 四方田 犬彦  アトムと寅さん (2/2006) ☆☆☆☆

アトムと寅さん 壮大な夢の正体アトムと寅さん 壮大な夢の正体
草森 紳一 四方田 犬彦

河出書房新社 2005-12-13
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鉄腕アトム(あるいは手塚治虫)にかかわるあれこれが前半、そして寅さんにかかわるあれこれが後半になっている対談集だ。

草森 紳一は有名な骨太の評論家。非常に多方面にわたり造詣が深い。
四方田 犬彦はマンガ評論でも有名だが、この人はじつは世界をまたにかけて活躍している人でもある。そのため世界中の文化に造詣が深く、それを前提にしたコメントは含蓄がある。

その二人が対談をするのだから、一筋縄ではいかない。話はあっちこっちに飛んでいく。
だが、面白い話が多い。
この中で私がとくになるほど、と思ったのは、「アメリカ人には国内ニュースと国外ニュースの区別がない」という四方田氏のコメントだ。たしかにそのとおり。どこの国でなにが起きても、それはアメリカの中の一部のひとびとには、身内の話になるのだ。

水木しげるさんの話も出てくる。「おいパウロ、畑はどうするんだ?」
つまり、水木氏は戦争に行って、南の島で現地人と仲良くなり、畑まで作るようになった。復員が決まったときに現地人に言われたせりふがこれだ。
これは本人も日経の「私の履歴書」あたりでも書いていたエピソードではある。
だが水木氏の戦争描写がこの経験を生かしているのと比べ手塚は観念的だ、というのはまさにそうだろう。
アトム的正義、というのは正義は正義、悪は悪、という二元的なものだ。だが戦争というのは必ずしもそうではない、というのが水木サンのアプローチ。鬼太郎は原則として自己犠牲をしない。それも経験と知識に裏打ちされているというのだ。

寅さんの話も面白い。
「てめえ、さしずめインテリだな」とインテリ蔑視の寅さん。
寅さんはやくざなのか、とか北朝鮮に行ったら、というような話もいろいろ出てくる。

寅さんファンが見てどう思うか、はちょっと疑問がないわけでもない。
単純に笑って楽しめばいい、それにインテリっぽい分析なんざあいらねえよ、というのが
寅さんかもしれないのだ。

お勧め度:☆☆☆☆ てめえ、さしずめインテリだな


posted by 濫読ひで at 12:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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