2009年11月15日

山本 弘 地球移動作戦 (11/2009) ☆☆☆☆1/2


地球移動作戦

ハヤカワSFシリーズ
著者: 山本弘
出版社: 早川書房
サイズ: 単行本
ページ数: 432p
発行年月: 2009年09月
ISBN:9784152090683
本体価格 1,900円 (税込 1,995 円) 送料無料
在庫あり(1〜2日以内に発送予定)
※注文個数によりお届け日が変わることがあります。
地球移動作戦

素晴らしい。そして惜しい。
そんなSFだ。

『妖星ゴラス』という映画を知っている人が読者の中にいるだろうか? 昔の円谷特撮映画で、宇宙からゴラスという星が地球に向かって飛んでくる。人類は力を合わせ、対策を決定した。それは、南極にたくさんのロケットを設置し、そのパワーで地球を動かしてゴラスをよける、というものだった。

さてこのSF小説は、そこから刺激を受けたのかどうかはわからないが、設定としては似ている。

時に西暦2083年。人類はすでに宇宙に進出していた。
「ピアノ・ドライブ」という新たなエンジンというか、タキオンを利用した物理的な作動原理が発明され、それによって人類の生活は著しく変化した。エネルギーの使用が大きく変化したのだ。宇宙の航行も自由になった。
宇宙探査船が、謎の新天体を調査したところ、その星は24年後に地球に迫り、壊滅的な被害をもたらすことがわかった。探査船のメンバーは、船長ブレイドをはじめ、命を犠牲にして、人類にデータを送った。それから人類は、その天体に対する方策を検討し、最終的に、地球の軌道を変える、という「地球移動作戦」を取ることに決定した。

その中心メンバーの一人に、魅波がいた。彼女はブレイドの姪であり、ブレイドの使っていた人工意識コンパニオンAICOMのマイカを受け継いでいる。 
一方、地球を移動させずに、滅亡を選ぶべきだ、という人々の動きも活発になる。 彼らはテロを起こし、作戦を妨害する。
はたして、人類は地球を移動させることができるか?


素晴らしい、というのはその内容だ
未来の話だから設定はいろいろ難しい。だが、「ピアノ・ドライブ」という新たな設定を使い、いろいろなことをよく説明している。地球の動かし方にしても、なるほど、と思えることも多く、できるのかもしれない、という風に一瞬思ってしまう。
私は文系だから詳細なタキオンがどうの、というのはわからないが、それなりの説明がされていれば受け入れる素養はあるつもりだ。

実は、その点が「惜しい」という部分でもある。
ピアノドライブやらタキオンやら、そのあたりが出てきた時点で、一部の読者にはついていけないだろう。 いわゆる「ハードSF」のカテゴリーの限界ということになる。

だから、この本はたぶん、万人のためのものではない。 だが、その設定などを乗り越えてしまえば、あとは手に汗を握る地球規模の(まさに!)アドベンチャー、スペクタクルとして楽しむことができるだろう。

こういう設定は、本来ならむしろアメリカなどのほうが受け入れやすいかもしれない。 実はアメリカのベストセラーの多くはSFだから。

というわけで、SFの設定を受け入れたうえで読むことができる人には、お勧めの本だといえる。 
通貨単位や行政区画など、いまの基準が使われているのはあえて読者のためのご愛敬、と解しておこう。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 地球を動かす!しかも、南極にロケットを置いたりするような無理をしないで。どうするのかって? それは…読みましょう(笑)

地球移動作戦

妖星ゴラス(DVD)



ラベル:山本弘 山本 弘
posted by 濫読ひで at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家や行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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