2009年09月26日

大崎梢 夏のくじら (9/2009) ☆☆☆☆☆


夏のくじら
著者: 大崎梢
出版社: 文藝春秋
サイズ: 単行本
ページ数: 315p
発行年月: 2008年08月
ISBN:9784163273303
本体価格 1,619円 (税込 1,700 円) 送料無料
夏のくじら

大崎梢の作品だが、これは推理小説ではない。
高知の「よさこい」をテーマにした青春小説といえばいいだろう。
よさこい祭りは、非常に大きなものだ。そして自由。チームで参加して踊る。 最低限の制約がある以外は、みんな自由なのだ。その制約をも楽しみながら、踊り、歩く。恋の花も、それ以外の花も咲く大きな祭り。

篤史は、高知大学の一年生。父の郷里である高知に戻った、というか舞い降りた。
篤史が戻ったひとつの大きな理由は、よさこいにある。 4年前、中学生のとき、よさこいに一度だけ参加し、そのときに中途半端に会えなくなった女性に再開したい、という思いがあるのだ。

そして篤史は町内会のよさこいのチームに参加する。4年前に解散してしまったチームの再結成だ。
篤史は、よさこい、というのが皆の強い思いによって支えられている、ということを知る。

チームの中心にカジがいる。彼は踊りの天才と言ってもいい。 彼の振り付けで皆が踊る。 
篤史の従兄弟の多郎は、篤史と一緒に踊る。ほかにも、チームを支える三雲、女性の踊り手、綾乃など、多くの魅力的なメンバーがそろっている。
みな、よさこいのために全力を尽くしている。
はたして篤史は、よさこいを楽しめるか。そしてあの女性を見つけだすことができるか…


高知というのは不思議な地域だ。日照時間とか、酒のひとりあたり消費量とか、多くの点で日本でトップ5あるいはボトム5に入ることが多いという極端な土地柄なのだ。

そんな高知の祭りであるよさこい。これも長い歴史があるわけでもないのだが、人々の間で定着していった。 いまでは、高知の人間にとってよさこいは無くてはならないものになっている。

祭りというのはそういうものなのだろう。日常を忘れて、全力で踊り、歌う。それによりストレスも吹き飛ぶし、祭りの中で出会いも別れも、喜びも悲しみも起こっていく。

この物語は、よさこいと甘酸っぱい青春をテーマにしている、といっていいだろう。べつに恋だけではない。祭りそのものを楽しんでいる人たちがここにいる。

よさこいを知らない人にも、いや知らない人こそ、読んでみるべきだと思う。単なる若者の成長物語だけではない。よさこい、という祭りがあるからこの物語ができあがっていることがよくわかるだろう。

お勧め度:☆☆☆☆☆  土佐の高知のはりまや橋で!
夏のくじら


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晩夏に捧ぐ
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ラベル:大崎梢
posted by 濫読ひで at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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