2009年09月21日

五十嵐貴久 土井徹先生の診療事件簿 (9/2009) ☆☆☆☆1/2


土井徹先生の診療事件簿
著者: 五十嵐貴久
出版社: 幻冬舎
サイズ: 単行本
ページ数: 277p
発行年月: 2008年11月
ISBN:9784344015791
本体価格 1,400円 (税込 1,470 円) 送料無料
土井徹先生の診療事件簿

本ブログにも何度か訪れてくださったこともある、いまや売れっ子の五十嵐貴久氏の作品。

「土井徹先生」どいとおる先生…どいとる先生…ドリトル先生 ばんざあい!ばんざあい!ばんざあい!

などとわけの解らないことを書いてしまったが…。
要するに、土井徹先生、というのはドリトル先生へのオマージュとかトリビュートとでもいうことなんだろう。ロフティングの作品、昔々全部読んだっけなあ。訳者によって訳語が違うので「オシツオサレツ」が「ソレオセヤレヒケ」になってたりして(遠い目)

…というのはさておき、この作品。主人公、というか語り手、立花令子は女性の警察キャリア官僚だ。というか警部補にして、南武蔵野署の副署長。
と言えば、ものすごく偉い女性のような気がするが、実はこれがなんと若い女性。 東大を出て警察庁に入ったものの、配属されたらそこで副署長になってしまったのだ。 実は彼女の父親は元ノンキャリの警察官。殉職したのだ。 そして彼女が公務員試験に通った、ということで警察庁が他に渡すな、と動き、彼女はめでたく?警察に入ることになった。 副署長とはいっても、経験も無いし、何ができるわけでもない、というわけで、まだ20代前半の彼女は、副署長室でぼんやりしているだけ、ということになってしまった。 
ある日、暇な副署長に与えられた仕事として、OBの妄想へのつきあい、というのがあった。70歳になる警察OBが、自分は殺される、と言って警察に何度も訴えてきた。 ありそうにないので警察も対処に苦慮しているうちに、老人介護のボランティアの経験もあり、暇な(!)令子にお鉢が回ってきたのだ。
令子は、彼の家を訪問し、そこで、たまたま犬の往診に来ていた初老の獣医師、土井徹先生に出会った。

それから、令子と土井先生のつきあいがはじまった。付き合い、といっても男女の関係ではない。令子が事件について相談し、土井徹先生が答えを導いてくれる、というものだ。時には孫の桃子が手伝ってくれる。

必ずしも土井徹先生は安楽椅子探偵ではない。また、事件もすべてが恐ろしいものでもないし、動物と話しができる、ということがなくても解決できるものが多い。(というか本当に土井徹先生が動物と話しができるのか、わからない。)ただ、事件に何らかの形で動物が介在している、ということだ。

大部分が平和な話、凶悪ではない事件であるが、最終話だけが異なる。殺人事件が起こるのだ。 そして令子は物語の終わりに、ある決意をする…。

土井徹先生が動物と話しができなくてもいいのだから、別に名まえが土井徹でなくてもよかったのかもしれない。 

普段物静かな土井徹先生の推理は鋭く、事件を快刀乱麻を断つように解決しつつも、関係者への配慮を忘れない。とても魅力的な探偵役のキャラクターだ。

それだけではない。令子だって当然魅力的だ。 連作の最終話は、未解決ながら、なんとなく結びの話になってしまっている。 今後、最終話の続編を長編にすることも可能だろうし、一方で関係なく短編をたくさん続けることもできよう。 せっかくの作品なので、もっとシリーズを続けてほしい、と願う。
令子は、土井徹先生と会うことで、かなりの成長を遂げたのだから。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 そういえば、笑う猫たちはどうなってしまったのでしょうか? 気になりますが、きっと円満に解決されたことでしょう。

土井徹先生の診療事件簿

この作者の他の作品
1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター ☆☆☆☆☆
http://hidebook.seesaa.net/article/106502167.html

2005年のロケットボーイズ  ☆☆☆☆1/2
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FOR YOU ☆☆☆☆1/2
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相棒 ☆☆☆☆1/2
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パパとムスメの7日間 ☆☆☆☆
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TVJ ☆☆☆☆
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リカ ☆☆☆1/2
http://hidebook.seesaa.net/article/46297737.html


ラベル:五十嵐貴久
posted by 濫読ひで at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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