2009年06月13日

小手鞠るい 時を刻む砂の最後のひとつぶ (6/2009) ☆☆☆☆1/2


時を刻む砂の最後のひとつぶ
著者: 小手鞠るい
出版社: 文藝春秋
サイズ: 単行本
ページ数: 252p
発行年月: 2009年05月
ISBN:9784163282107
本体価格 1,333円 (税込 1,400 円) 送料無料
時を刻む砂の最後のひとつぶ

小手鞠るい、という名前を書くとき、いつも少し逡巡する。
彼女の本は恋愛モノが大部分であり、しかも恋におぼれていく女性が主人公になったりするケースも多い。 女性として恋に身をこがし、官能の世界に身をやつす。そして嫉妬に狂い、悲しみに泣きくれる。

彼女の本は…それこそ女の読むものであり、大の男が読むものではない、というイメージが強いのだ。

だが私は彼女の本を読む。ためらいながらも、手に取ってしまう。



この本の最初のエピソードは、ある女性作家の話だ。 アメリカ人と結婚して、家族とテーブルを囲んでいる。そこで出てきた質問は、「もうじき死ぬとわかったら、どうする?」。 そして彼女は、自分が経験してきたことについて思いをはせる…。

最初、これはノンフィクションかと思った。実際はフィクションだったが。また、その後の短編でも、「レンアイ相談」の続きのものかとも思えるようなものが含まれている。

そして、読んでいくうちに、ある程度、個別の作品が連関していることが明らかになっていく。

出てくる女性は皆、何らかの形で恋に翻弄される。あるいは、恋によって癒される。若い女性も、伴侶が人生の終わりに近づいている女性も。

それが、彼女の描く世界だから。
そしてきっと、私はその世界が好きなのだ。
自分には訪れることのない世界だから、なのかもしれないが。

最後の短編には、最初の短編での問いかけに対しての、ある程度の答えが載っている。
きっと、作家が死んだあとには、作品が残る、と。

お勧め度:☆☆☆☆1/2 小手鞠ワールドが好きなかたに。 


追記;最初の短編は、作者が実際に取材した事件にある程度基づくものだそうです。



時を刻む砂の最後のひとつぶ
posted by 濫読ひで at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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