2008年10月19日

古川日出男  聖家族 (10/2008) 評価不能


聖家族
著者: 古川日出男
出版社: 集英社
サイズ: 単行本
ページ数: 738p
発行年月: 2008年09月
ISBN:9784087712551
本体価格 2,600円 (税込 2,730 円) 送料別

聖家族

これは、すごい本だ。
古川日出男はこう言うかもしれない。

「俺は、書いた」
「おまえは、読めるか?」

記録したものが真実になる。記憶だけでは世に残らないから。
記憶だけで残るものが人と人の間に存在するなら、それを記録すればそれが真実になる。


定価2730円。全738ぺージ。
この分厚い本を見て、ある人は思うだろう。
「これは、辞書か?」
ある人は思うだろう。
「これは、聖書か?」

古川日出男の哄笑が聞こえるようだ。
「読めるものなら、読んでみろ!」
そして「理解できるものならしてみろ」と。
彼は聖堂を建てた。
あるいは聖書を書いた。

ある者は、読んで理解しようとする。
ある者は、読むのを放棄する。 言語は日本語だが、中身が理解できないから。あるいは単純に長いから。 
またある者は、一部を読んでわかったふりをするかもしれない。 
そしてある者は、厚さに辟易し、枕に使う、あるいは漬物石にする(これはもう存在しないか?)。


これは、一族の物語だ。
狗塚らいてう、という祖母。狗塚牛一郎、羊二郎、カナリアというきょうだい。はくてう、という祖母の祖母。きょうだいの両親。母の先祖。

家族の歴史は、時空を超える。コミュニケーションは、場所を超える。記憶の連鎖は、時を越える。

扉は描かれた。5つの扉が。
狗塚らいてうによる「おばあちゃんの歴史」
それから「聖兄弟」と「地獄の図書館」。
「見えない大学」附属図書館。 それから記録シリーズと聖兄妹。
そして狗塚カナリアによる「3きょうだいの歴史」。

らいてうの歴史ははくてうの歴史。そして三兄弟妹たちの歴史でもあり、それはビートルズだったり鳥居だったり天狗だったりする。
地獄の図書館は地図だ。「見えない大学」は見えないものを記録し、事実にする。そして、地獄の図書館は、町の意思を記録するものでもある。郡山は考えたのだ。
3きょうだいの歴史は、きょうだいの歴史だけでなく、大政奉還前後の歴史でもあり、時を越えて、孕んだ女、生まれようとする子供の歴史でもある。




私は、この本を読んだ。
圧倒されながらも、読んだ。

わかったこと。
自分にはこんな本は絶対に書けない。
1ページだって書けない。
そしてもう一つ。 
古川日出男は天才だ。
そして、天才は理解されない。

凡夫たる私が、天才の作品を評価することはできない。
彼は書いた。
私は読んだ。

あなたは、読めるか?

もう一度言おう。
古川日出男の哄笑が聞こえる。
「読めるものなら、読んでみろ!」

一般人には、到底勧められない。
だが、もしあなたが、艱難辛苦に挑戦するだけの気概と、古川日出夫の文体に魅せられているのなら、これは必読だ。

これは聖書だから。
聖書は長い。そして矛盾に満ちている。
だが、読みたくなる人には、ものすごい魅力を持っている。

「ベルカ、吠えないのか」を遥かに越えるスケールで描きだすこの作品。 古川信者はまず手に取るべきだ。そして瞠目せよ。

あなたが「古川日出男」を知らない、あるいは「アラビアの夜の種族」のみを知っているなら。
やめておいたほうが、身のためかもしれない。
火傷をするかもしれない。あるいは、足におとして骨折するかもしれないからだ。

お勧め度:評価不能

読めるものなら読んでみなさい。


聖家族


ラベル:古川日出男
posted by 濫読ひで at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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