2008年08月30日

楊逸 時が滲む朝 (8/2008) ☆☆☆☆1/2


時が滲む朝
著者: 楊逸
出版社: 文藝春秋
サイズ: 単行本
ページ数: 150p
発行年月: 2008年07月
ISBN:9784163273600
本体価格 1,238円 (税込 1,299 円) 送料別
時が滲む朝

史上初めて、日本人でない人が書いた芥川賞受賞作。

浩遠と志強は、二狼と呼ばれた大学の親友だった。二人は毎朝詩を朗読していた。そのうち、甘先生と出会い、学生運動に傾倒していく。しかしそこで、天安門事件が起きる。
そして夢破れた二人は、苦労をしながら別々の道を歩んでいく。
浩遠は日本に渡り、家庭を持つ。そして民主化を支持しようと運動を続けるが…


私自身が中国に興味をもっているせいもあるかもしれない。とても面白い。それに、皮肉な現実を淡々と記しているのもなかなかいい。

「妻も息子も顧みることが出来ない、そんな人が国を愛せるのだろうか」 このフレーズは重い。
また、学生運動は生活の不安のない学生がやっている、ということ、そしてその影響で商売ができなくなり困っている人々もいた、ということも小説のエピソードの形で記されている。

世の中の問題、体制の問題、民主化の問題、貧困の問題…実はその多くが、個人あるいは国を富ませることで解決してしまうのではないか。

「民主化」が解決するのではなく「金」が解決するか? かならずしもそうではないのだが、少なくとも経済的なゆとりは、人々のこころにも余裕を持たせていく。

そして「ふるさと」がどこにあるのか。それは個人個人のこころが決めていくのだろう。

お勧め度;☆☆☆☆1/2 中国に興味があるひとはぜひ!

時が滲む朝
ラベル:楊逸
posted by 濫読ひで at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家や行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。