2008年08月17日

津野海太郎 ジェローム・ロビンスが死んだ (8/2008)


ジェローム・ロビンスが死んだ
ミュージカルと赤狩り
著者: 津野海太郎
出版社: 平凡社
サイズ: 単行本
ページ数: 359p
発行年月: 2008年06月
ISBN:9784582834000
本体価格 2,800円 (税込 2,940 円) 送料別
ジェローム・ロビンスが死んだ

ジェローム・ロビンスといっても知らないひとが大部分ではないだろうか。
彼は第二次大戦前後に有名になったブロードウェイミュージカルの振付師兼演出家だ。ウェスト・サイド・ストーリーの演出家だといえば、なるほど、と納得する人も多いだろう。



この本はミュージカルのことをメーンに書いているのではない。彼が戦後の「赤狩り」のなかで、知人たちを体制派に売って、自分が生き延びたということについて、調べがついたことを記している。

彼はユダヤ人だ。 ユダヤ人は昔から迫害されてきた。その一方、自分たちを解放するために、モスクワと手を組んで、共産党を組織し、反政府活動にいそしんでいった人たちがいる。 ロビンスもその一人だった。 戦後の核開発、そして東西冷戦の中、マッカーシズムが吹き荒れ、赤狩りがなされる。

ロビンスは、共産党から離れており、そしてその当時の仲間の名を当局に言うことで、自分が迫害されることを逃れたのだ。 つまり裏切り者、ということになる。

ロビンスの告発で、多くの関係者が捕まってしまったようだ。
そして彼は生き延びた。

だがこれはロビンスの行為を糾弾するものではない。その当時の時代背景を調べ上げ、彼、そして彼をとりまく人たちにどんなことがあったのか、ということをかなりわかりやすく述べている。

ロビンスは告発により、自分の居場所をアメリカで確保した。彼により、居場所をなくした人たちも多い。だがそれは、彼を責めるべきものなのだろうか。自分がその立場にいたら、どうしていただろうか…いろいろ考えさせられた。


なお、筆者(濫読ひで)が彼の名を知ったのは、「ジェローム・ロビンス・ブロードウェイ」という彼の作品のオムニバス・ミュージカルを見て、ということだった。バーンスタインを知っていても、ロビンスの名は知らなかった。 もう10年以上の話だが。


ジェローム・ロビンスが死んだ


ラベル:津野海太郎
posted by 濫読ひで at 07:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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