ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(上)
著者: 楡周平
出版社: 講談社
サイズ: 単行本
(上)
ページ数: 338p
発行年月: 2008年02月
ISBN:9784062142533
本体価格 1,700円 (税込 1,785 円) 送料別
(下)
ページ数: 359p
発行年月: 2008年02月
ISBN:9784062145381
本体価格 1,700円 (税込 1,785 円) 送料別
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(上)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(下)
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」がベトナム戦争にかかわる話とすれば、本作はそれに近い時代に日本で起こっていたこと、つまり大学紛争にかかわる話だ。
物語は、1999年と学生紛争の時代、1999年を行ったり来たりする。
30年の間に何が変わり、何が変わらなかったのか。
ふた組の夫婦がいる。
片方は、病院経営をする両親と大蔵省の息子と高校生の息子がいる夫婦。
もう片方は、年ごろの娘が二人いる政治家の夫婦だ。
東大卒、大蔵省で働くエリートコースの崇に縁談が持ち込まれた。相手は政治家の娘、尚子だ。
崇はいつか政治家になり、日本を真に動かしたいという強烈な上昇志向を持っている。おそらくそれは母、三奈の影響もあるだろう。
一方尚子の父、白井眞一郎は大物政治家だが、資金のバックについている白井建設は経営が不振になっている。
その30年前。
三奈と、その夫の和裕は安田講堂の中にいた。
眞一郎は、東大生であったが、学生運動からは距離をおいていた。
そして三奈と眞一郎は、深い関係にあった。二人には共通の目標がある。「日本を変える」ということだ。
ただ、三奈はそれを革命を通じて、眞一郎はそれを中から変えようと考えた。
その二人が、30年のときを経て、子供たちの関係を通じて再会することになる。 三奈にはもう一つ秘密があった…
東大出のエリートとはいっても、どこまでこんな考えをするのか、については異論があるだろうが、権力志向が強烈にある人々の打算と欲をうまく描き出せていると思う。
もう一人の登場人物、崇の元恋人、宣子がキーの役割を演じる部分もある。
宣子はMITなので、本当は学位はMBAではなくMSなのだが、そんな細部への言及を求める読者はあまり居ないだろう。
細部にはほかにも疑問がないではないが、全体の流れはうまくできている。
崇の上昇志向、それから眞一郎の信念がよく似ている。どちらも目的のためなら手段を選ばない感じだ。ただ、崇はやはりおぼっちゃまで、世の中や人の心までわからない部分がある。眞一郎はさすがに人生いろいろな目を見ているので、より世間を知っている。
最後に笑うのがいったい誰だったのか。 ストーリーの最後に、明らかになる。
自分の目的のためには、手段を選ばない人々。 その欲望を見事に描いているといえるだろう。
お勧め度:☆☆☆☆1/2 権力志向の人も、そうでない人も。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(上)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(下)
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